「ホームページのフォームから来るのは、営業のご案内と、英語の意味の分からないメールばかりなんです。本物のお問い合わせが埋もれてしまって」——先日いただいたご相談です。毎朝それを消すところから一日が始まる、という方は少なくありません。フォームをやめてしまいたくなるお気持ちも分かります。でも、フォームは残したまま、かなり減らせます。
なぜ、こんなに届くのか
届いている迷惑メールの多くは、人が1通ずつ書いているのではありません。インターネット上のホームページを自動で巡回して、問い合わせフォームを見つけたら機械的に送信するプログラムがあります。英語のメールや、URLだけが貼られたメールはほとんどがこれです。
もうひとつは、営業メールの送信代行です。こちらは人の手で、あるいは半自動で、日本語の丁寧な営業文を大量のフォームに送っています。
どちらも、あなたの会社を狙っているわけではありません。フォームがあるサイトなら、どこにでも届きます。つまり、「うちだけおかしい」のではなく、何も対策をしていないフォームには、届くのが普通なのです。
放っておくと、困ることが2つあります
1つめは、本物のお問い合わせの見落としです。迷惑メールが1日に何十通も届くと、人はだんだん件名を流し読みするようになります。その中に、見積もりのご依頼が1通混じっていたら——いちばん避けたいのはこれです。
2つめは、あまり知られていない危険です。フォームに「自動返信メール」を設定しているサイトでは、送信者がメールアドレスの欄に他人のアドレスを入れて送ると、その他人宛てに、あなたの会社名で自動返信が飛びます。
自動返信の中に「お問い合わせ内容」をそのまま載せる設定になっていると、そこに宣伝文や怪しいURLを書き込まれ、あなたの会社のサーバーから迷惑メールを配っているのと同じ状態になります。これを大量にやられると、あなたの会社のメールそのものが「迷惑メール扱い」されて、取引先に届きにくくなることがあります。
まず、この3つを確かめてください
自社のフォームがどんな状態か、次の3つを見るだけでおおよそ分かります。
| 確かめること | 見方 | こうなっていたら要注意 |
|---|---|---|
| 自動返信の中身 | 自分のフォームから自分宛てに1通送ってみる | 書いた本文がそのまま返ってくる |
| ロボット対策の有無 | フォームの送信ボタンの近くを見る | 「reCAPTCHA」などの表示も、画像を選ぶ問題も何もない |
| 迷惑メールの中身 | 届いた迷惑メールを3通ほど開く | URLが入っている、日本語が1文字もない |
3つめは、次の「対策3」で使える手がかりになります。迷惑メールは消す前に、どんな特徴があるかだけ見ておいてください。
対策1 「人間かどうか」を見分ける仕組みを入れる
いちばん効くのは、送信したのが人間か、プログラムかを見分ける仕組みをフォームに入れることです。代表的なものが2つあります。
| reCAPTCHA(リキャプチャ) | Turnstile(ターンスタイル) | |
|---|---|---|
| 提供元 | Cloudflare | |
| 費用 | 月1万回の判定まで無料(Google Cloudへの登録が必要) | 無料プランで回数の上限なし |
| 訪問者の手間 | 最近の方式は、ほとんど何もしなくてよい | ほとんど何もしなくてよい |
昔よく見た「信号機が写っている画像を全部選んでください」のような問題は、今はほとんど出ません。訪問者のふだんの動きから、裏側で自動的に判断する方式が主流です。お客様に手間をかけずに、プログラムからの送信だけを止められます。
小さな会社のフォームなら、月1万回の判定を超えることはまずありません。どちらを選んでも、費用はかからないのが普通です。
ひとつ注意があります。reCAPTCHAは、ここ1〜2年で管理の仕組みが変わりました。Googleは、以前から使われていた設定をGoogle Cloudの管理画面へ移すよう案内しています。何年も前に入れたままのサイトは、ちゃんと動いているかを一度確かめておくと安心です。
対策2 自動返信メールを見直す
先ほどの「他人宛てに自動返信が飛ぶ」問題への対策です。やることは簡単で、自動返信の文面から「お問い合わせ内容」の引用を外すだけです。
「お問い合わせを受け付けました。担当者より2営業日以内にご連絡します」——これだけで十分です。書き込まれた内容が外に出ていかなければ、悪用しても意味がなくなります。
被害が出ている最中なら、いったん自動返信を止めるのが応急処置になります。お客様には少し不親切になりますが、会社のメールの信用を守るほうが先です。
対策3 中身でふるい分ける
対策1をすり抜けてくるものには、届いた迷惑メールの特徴を使います。たとえば次のようなルールをフォームに足すと、送信の段階で止められます。
- 本文に日本語が1文字も入っていない送信は受け付けない(英語の迷惑メールはほぼこれで止まります)
- 本文にURLが入っている送信は受け付けない、または別の受信箱へ振り分ける
- 人には見えない入力欄を1つ置いておき、そこに何か入っていたら機械の送信とみなす(プログラムは欄を全部埋めてしまうため)
営業メールの送信代行は人の手が入るので、完全には止められません。そこは「営業のご連絡はご遠慮ください」とフォームの上に一文書いておくくらいが現実的です。それでも届いたものは、メールソフトの振り分けで別のフォルダへ移しておけば、見落としの心配は減ります。
やめておいたほうがよいこと
迷惑メールに疲れて、フォームをやめてメールアドレスをそのままページに載せる——これはおすすめしません。ページに書かれたメールアドレスは、同じように自動で集められ、今度はフォームを通さずに直接迷惑メールが届くようになります。止める手段も減ってしまいます。
フォームは、お客様にとっていちばん気軽な連絡手段です。電話をかけるほどではない、でも聞いてみたい——そういう方の入り口をなくしてしまうのは、もったいないことです。
私達の現場から
私達がホームページを制作するときは、問い合わせフォームに最初からロボット対策(reCAPTCHA)と、送信側での入力チェックを入れています。公開したその日から、機械的な送信はほとんど届きません。
ご相談でいちばん多いのは、「前の業者さんに作ってもらったフォームが、どういう仕組みなのか分からない」というものです。送信先のアドレスが退職した方のものになっていた、自動返信に本文がそのまま載っていた、ということも実際にありました。
「うちのフォームは大丈夫だろうか」と思われたら、フォームのあるページのアドレスを教えていただくだけで、どこから手をつければよいかをお伝えします。お気軽にご相談ください。
まとめ
- フォームへの迷惑メールは自動プログラムと営業の送信代行がほとんど。対策していないフォームには届くのが普通
- 困るのは本物のお問い合わせの見落としと、自動返信を悪用されて会社のメールの信用が落ちること
- まず自分宛てに1通送って、自動返信に本文が載っていないかを確かめる
- 対策1:reCAPTCHA や Turnstile を入れる。小さな会社なら費用はかからないのが普通
- 対策2:自動返信から本文の引用を外す
- 対策3:日本語なし・URLありの送信を止めるなどのふるい分けを足す
- フォームをやめてメールアドレスを直接載せるのは逆効果